この記事では、英語の少し大袈裟に聞こえる誇張表現を例文と共に紹介します。僕自身、大袈裟な誇張表現が大好物なので、見つけ次第随時追加していきたいと思います。なお、紹介する表現のいくつかはあまり日常では耳にしないものではありますが、だからこそ何かを大袈裟に誇張したい時に便利です。
brand new
意味はnew を強調した「まっさらな、最新の、さらぴんの(関西弁)」です。brand はいわゆる「ブランド」ですが、このフレーズではnew を強調しています。
I want to live in a brand new appartment
出来たてホヤホヤのアパートに住みたい
sky high
意味はhighを強調した「(空のように)非常に高い」です。また、このフレーズと似ている表現に “the sky is the limit” (空が限界だ)というイディオムがあり、意味は「限界がない、青天井」です。また、skyrocket という単語は、”increase” (増加する) を強調した「急騰する」という意味の動詞でよく使われます。
The price of the ticket is sky high
チケットの値段が法外に高い
stone-cold
意味はcold を強調して、「(冷えた石のように)非常に冷たい」です。”ice-cold” というもっと直接的な表現もあります。また、stone-cold に sober(しらふの) という単語を組み合わせた “stone-cold sober” は「完全にシラフの」という意味になります。
The soup was stone-cold.
スープがキンキンに冷たかった。
stone broke
broke は「金欠、金がない」という意味のカジュアルな形容詞で、実はこの単語だけでもお金がないことを結構誇張した意味なのですが、それに stone が加わると「一文無しの、すっからかんの」という、さらに強調した意味になります。penniless 「1ペニーもない」という単語と意味が近いです。
I’m stone broke now, so I can’t go
今財布すっからかんだから、いけないや
crystal clear
clear を強調して、「(水晶のように)澄んだ、透明な」という意味で、また比喩的に「明瞭・明白な、火を見るよりも明らか」という意味でもよく使われます (この場合、皮肉的に使われることが多い気がします)。また同様に、crystallize という動詞は「結晶化させる」の他に「(考えなどを)クリア、明確にする」という意味にもなります。
The sea was crystal clear.
海が水晶のように澄んでいた
It was crystal clear that he ate my sandwich.
彼が私のサンドイッチを食べたのは、火を見るよりも明らかだった
polar opposite
opposite を強調して「真逆の、正反対の」という意味になります。polar は pole「極」の形容詞で、polar regions/zones といえば the North Pole (北極) 及び South Pole (南極) を示します。polar が形容詞だからか opposite は名詞として使われることが多く、そのため the がついたり opposites と複数形になったりします。
His personality is the polar opposite of mine.
彼の性格は私と正反対だ
paper-thin
thin を強調して「(紙のように)薄い、ペラペラの」という意味です。
The walls are paper-thin
壁が紙のようにペラペラだ
yet another
another を強調した「さらにもう一つ他の、別の…」という意味で、「(すでに沢山あるのに加えて)まだ他にもある」、というニュアンスを含みます。ネガティブなこと、例えば “yet another bug has been found” (さらに他のバグが見つかった) のように使われた場合、皮肉的な意味になります。プログラマーの間では、自分のソフトウェアや作品が既にある物と類似している場合に(やや自虐的に)使ったりします。
Yet another university was founded.
さらに別の大学が創立された。
bone-tired
tired を強調した「(骨に響くほど) 疲れ果てた、クタクタの」という意味です。次の “bone-chilling”もそうですが、ここでは bone「骨」が体の中心を比喩的に表しています。
I was bone-tired after work yesterday.
昨日の仕事終わりはクタクタだった。
bone-chilling
chilling を強調して「(皮膚を通り越して骨に伝わるほど)とてつもなく寒い」です。天候を表すのではなく、自分がそう感じたことを表現する場合は、”be chilled to the bone (完全に体が冷え切った)” という表現を使います。なお、chilling は「(寒気を感じるほど)恐ろしい、不快な、ゾッとする」という意味で使われることもあるので、bone-chilling もその意味で使われることがあります。また、似た表現に freezing cold (凍えるほど寒い) という表現もあります。
It was bone-chilling yesterday. (I was chilled to the bone yesterday).
昨日は骨に寒さが染みるほど寒かった
It was freezing cold yesterday
昨日は凍えるほど寒かった
His remark was bone-chilling
彼の発言は寒気がするほど不快だった/ゾッとした
bare minimum
minimum を強調して「(可能な限り)最小の、必要最小限の」という意味 (as low as possible)です。本来、bare は「むき出しの、裸の」という意味で “bare feet” といえば「裸足」ですが、ここではプラスアルファが全くない様を比喩的に表しています。例えば、do the bare minimum at work といえば、「職場で必要最低限の仕事しかしない」という意味で、keep the cost to a bare minimum といえば、「コストを最小限に抑える」という意味です。
The bare minimum amount of sleep I need is 5 hours.
睡眠時間はどれだけ少なくても最低5時間は必要だ。
rock-hard
hard を誇張して、「石のように硬い」です。
The matress was rock-hard and I couldn’t sleep!
マットレスが石のように硬くて寝れなかった!
rock bottom
bottom を強調して 「これ以下はない、最小の、どん底の」という意味(the loweset possible level)です。rock-bottom price や “the price hit/reach rock bottom “のように底値を表すときなどによく使います。”I was at rock bottom last year” のように、どん底の精神状態を表したりもします。
One hundred dollars is the rock-bottom price.
100ドルが底値だ(それ以下には絶対しない)。
rock solid
solid を強調して 「(石のように)固い、揺るがない、磐石な」という意味になります。
The relationship between these two countries is rock solid
この二カ国間の関係は磐石だ
be laser-focused
focused を強調して「(レーザーのように特定のこと・人に)一点集中している」という意味になります。基本的に、be/get laser-focused on … の形で以下のように使われます。
The government is laser-focused on supporting startups.
政府はベンチャー企業をサポートすることにピンポイントに集中している。
green with envy
envy を強調して、「非常に嫉妬している」という意味です。嫉妬して肌が緑になるほど気分が悪くなる、と考えたら分かりやすいかもしれません(とは言っても、大袈裟な冗談として使われることも多いです)。一説にはシェクスピアが広めた表現だと言われています。
You bought a new car again? I’m green with envy!
また新しい車を買ったって? 嫉妬でおかしくなっちまうよ!
red hot
hot を強調して「(赤く燃えるように)非常に暑い」という意味です。元々、hot には「暑い」以外にも意味が色々あるので、文脈によって意味が結構変わります。例えば、「勢いがある、今ホットな」という意味で “red hot job market” (とても勢いがあってホットな雇用状況) とか red hot company (勢いのある会社) などと言ったりします。なお hot には「(女性が)魅力的な、セクシーな」という意味もありますが、この意味を誇張する場合は “smoking hot” (煙が出るほど熱くてセクシー)という、スラングも使えます(とはいったものの、ややゲスい表現なので使う場所と相手に気をつけたほうがいいです)。
AI is a red hot topic.
AIは今燃えるようにホットな話題だ。
in the dead of winter
winterを強調して「真冬真っ只中に」という意味です。この表現で思い出すのが、イチローのメジャー初年度(2001年)にRob Dibbleというアメリカの野球解説者が放送中に言ったとされる次のセリフです: “I will run naked through Times Square in the dead of winter if Ichiro wins the batting title.” (もしイチローが打撃タイトルを取ったら、真冬真っ只中にタイムズスクエアを裸で走り抜けるよ)。しかし、皆さんもご存知の通り、イチローはこの年に打率 .350で首位打者と最多安打、おまけに最多盗塁、さらにはゴールドグラブ、シルバースラッガー、新人王、そしてシーズンMVPまでも獲得しました。その結果、この解説者は実際に自分の約束を守り、タイムズスクエアを紐パン一丁で駆け抜けた、という面白い逸話があるのです。
ちなみに、イチロー選手の活躍をまとめたブログ記事を昔英語で書いたことがあります(その時に、in the dead of winter がRob Dibbleによって使われたことを知りました)。かなりの力作だと自負しているので、英語と野球が好きな方は是非一読してみてください。

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[…] fuel は「燃料」という意味の名詞ですが、比喩的に「(火に油を注ぐように何かを)刺激する、勢いなどを増加させる」という意味でも使われます。そのため、何かを誇張したい時に使えます。 語感が近い動詞に “boost” 「ブーストする、増加させる」や、inflame 「(感情などを)燃え上がらせる」があります。誇張表現が好きな方は、過去記事「英語の大袈裟な誇張表現15」も参照してみてください […]
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