この記事では、日本語と英語の両方で使われているイタリア語由来の単語を紹介します。以下の単語リストを見れば分かる通り、イタリア語は日本語と同様に母音が多いのが特徴で、かつ大体ローマ字読みでOKなので、日本人にとっては英語よりもずっと発音しやすい言語です。
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食べ物
pizza (ピザ)
某芸人のネタでも言われている通り、イタリア語の発音はピザじゃなくてピッツァです。
pasta (パスタ)
英語や日本語と異なり、イタリア語のpastaの意味はとても広く、一般的に「水と小麦粉を混ぜて使った生地、練り物」という意味です (そして、”impastare” はイタリア語で「(生地などを)こねる」という意味の動詞です)。そのため、パスタはもちろんのことマカロニやパン、時にケーキさえもpastaと言われます。次のspaghetti (スパゲッティ) と macaroni (マカロニ) はpastaの一種です。
spaghetti (スパゲッティ)
Spaghettoの複数形です。日本で一般的な細長いパスタのことです。
macaroni (マカロニ)
イタリア語でのスペルはmaccheroni (マッケローニ)で、maccheroneの複数形です。筒状の短いパスタですね。
peperoncino (ペペロンチーノ)
peperoncino はイタリア語で「唐辛子」という意味なので、パスタのペペロンチーノは イタリア語で “spaghetti aglio olio e peperoncino” 、直訳すると「ニンニク (aglio)、オイル (olio)、唐辛子 (peperoncino) のスパゲッティ」です。
risotto (リゾット)
ちなみに、 riso はイタリア語で「米、ライス」です。
broccoli (ブロッコリー)
tiramisu (ティラミス)
イタリア語でもtiramisuは名詞 (tiramisù)として使われますが、元々は tirami su (“pick me up”, 私を元気にする) というフレーズに由来します。ティラミスにはエスプレッソが入っていてカフェイン量が結構多いので、納得ですね。
コーヒーの種類
イタリアやコーヒー文化が盛んな国(オーストラリアなど)では、コーヒーを注文する時は必ずどの種類のコーヒーが欲しいのか伝える必要があります。例えば、イタリアで単にコーヒーというと一口サイズしかないエスプレッソが出てき来て驚く可能性があります。
espresso (エスプレッソ)
一口サイズのショットサイズで飲むコーヒーです。espresso は元々イタリア語 esprimere (搾り出す、押し出す: “press out”)の過去分詞(受け身形)で、「搾り出された(コーヒー)」という意味です。
macchiato (マキアート)
日本語で「マキアート」といえばスタバの「キャラメルマキアート」のような甘いコーヒーをイメージするかもしれませんが、本来のマキアートはエスプレッソに牛乳をほんの少しだけ垂らしたコーヒーを意味します(そのため、マキアートを海外で頼んだらショットサイズのコーヒが出てきて戸惑う日本人は多いでしょう)。なお、macchiatoは イタリア語の “macchiare” (シミをつける) の過去分詞で、「シミのついた」という意味です(エスプレッソにシミをつけるように牛乳を垂らすため)。
americano (アメリカン)
エスプレッソをお湯で薄めてつくる日本では結構人気なコーヒーですが、私がオーストラリアに住んでいた時はあまり飲んでいる人を見かけませんでした。そのせいか、フレッシュ(コーヒーミルク)もあまり見たことがありません(注文するには、1 teaspoon of milk を americanoに足してくれ、等と言う必要があります)。また、英語では “long black” と言ったりもします(ただ、long black はエスプレッソをお湯に注ぐのに対して americano はその逆、という違いがあるようです)。
caffè latte (カフェラテ)
caffè が「コーヒー、カフェ」でlatte が「牛乳」ですが、latte と略されることが多いです。ミルクが多めのコーヒーです。
cappuccino (カプチーノ)
カフェラテと似ていますが、微妙にミルクの量や作り方が違ったり、シナモンやチョコレートパウダーが上にかかっていたりします。
barista (バリスタ)
イタリア語における “bar” は「バー」というよりも「カフェ 、喫茶店」のような場所で、barista は bar + ista (~する人、専門家) です。イタリア語の -ista は 英語の-ist におよそ対応します。 (例: pianist (ピアニスト) -> pianista)
音楽関連
a cappella (アカペラ)
意味は「アカペラ (楽器を使わないで歌うこと)」で、英語では “sing a capella” (アカペラで歌う) や “a capella version” (アカペラバージョン) のように副詞や形容詞として使えます。 ただ、ここの a は英語の冠詞ではなくイタリア語の前置詞 (to や in のような意味) で、かつ cappella は イタリア語で「(教会などの)聖歌隊」という意味なので、本来の意味は 「聖歌隊のスタイルで」となります。そのため、英語では “an/the a cappella verision” のように 冠詞 “an”や “the” が手前に置かれることもあります。また、 acappella のようにくっついて一つの単語として使われることもあります。 これと関連して、フランス語の “à la …” (…の方法で)というフレーズも英語で使われますが、この場合の “à” も英語の to や in に対応する前置詞です。
finale (フィナーレ)
「音楽や劇などの(終了間際の)クライマックス、最高潮」を意味します。英語では以下の例文のように比喩的にも使われ、特に素晴らしかった場合は “grand finale”(壮大なフィナーレ) と言います。
The fireworks were the grand finale of the event.
あの花火は、このイベントの壮大なクライマックス(幕切れ)だった。
crescendo (クレッシェンド)
音楽用語「クレッシェンド」で、音楽のクライマックスに向けて徐々に音が大きくなっていくパートを指します。また、英語で “reach a crescendo” は「クレッシェンドに達する」と言う意味になりますが、比喩的に「(盛り上がり等の度合いが)徐々に高まっていき、最高潮に到達する」という意味でも使えます。音楽のクレッシェンドを思い浮かべれば、意味がイメージしやすいですね。
The battle reached a crescendo last week.
あの戦いは先週ピークを迎えた。
piano (ピアノ)
イタリア語でピアノは “pianoforte” (ピアノフォルテ) で、piano 「ゆっくりと、ソフトに (slow, soft)」と forte 「強い、うるさい (strong, loud)」という二つの単語が組み合わさって出来た単語です。弾き方によって強弱のつけられる楽器だからそう名付けられたと言われています。
pianissimo (ピアニッシモ), fortissimo (フォルテッシモ )
-issimo はイタリア語で「非常に、最も」という意味の接尾語で、pianissimo は piano + issimo = 「非常に弱く」、 fortissimo は forte + issimo = 「非常に強く」です。 どちらも音楽用語ですが、ピアニッシモはタバコの銘柄名にもなっているので聞いたことがある人は多いかもしれません。なお、forte は英語では「強み (strength)」という意味の名詞で使われます (発音はフォーテイ)。
tempo (テンポ)
ちなみに、イタリア語では音楽のテンポの他に、「時間」や「天気」という意味もあります。
opera (オペラ)
ちなみに、イタリア語では「仕事 (labour)」とか「作品 (work)」という意味もあります。
soprano (ソプラノ)
その他
casino (カジノ)
イタリア語ではcasinòと casino という二つの単語があり、アクセント記号のある前者が「カジノ」という意味です(発音はノにアクセント)。後者は casa (家)+ ino (小さい) =「小さな家」という意味で違う単語なのですが、実はこれが 前者の「カジノ」の語源だそうです。
influenza (インフルエンザ)
元々はイタリア語で「影響 (“influence”)」を意味する単語で、英語では “flu” と略されることが多いです。
scenario (シナリオ)
イタリア語ではシェナリオと発音し、「演劇の場面 (シーン)、セット」という意味もあります。
solo (ソロ)
ソロパートやソロキャンプのソロですね。イタリア語で「一人で (alone)」、「唯一の (only)」、 「たった (just)」という意味です。
replica (レプリカ)
遊戯王のカードのレプリカの由来です。replica は “replicare” 「返事する (reply)、繰り返す (repeat)」の三人称単数形です。
おまけ:イタリア語由来の上級英単語
fiasco
悲惨な大失敗をやや誇張して言う時に使う単語で、個人的に好きな単語です。なお、イタリア語では「失敗」の他に「小瓶」という意味もあり、こちらが元々の意味だとされています。
Our new project resulted in a (complete) fiasco.
我々の新しいプロジェクトは、(完全な)大失敗に終わった。
virtuoso
「芸術や音楽で秀でた才能を持つ人物、名人」を意味します。英語では “ヴァーチュオーソゥ”と発音しますが、イタリア語では “ヴィルトゥオーゾ”です 。 僕はこの単語をイチロー選手の活躍をまとめたJapan Timesの記事: “Ichiro Suzuki: A virtuoso on the diamond” で知ったのですが、イチロー選手の芸術的なプレーを表すのにぴったりな単語だなと思い、僕もイチロー選手の活躍を英語でまとめた記事で真似して使ってみました。
If you’re looking for a guitar virtuoso, he should fit the bill.
もしギターの名人を探しているのなら、彼がぴったりだろう。
graffiti
「(スプレーなどで壁に書かれた)落書き」という意味です。不良がシャッターなどに描くような落書きをイメージするといいでしょう。ただ、中にはアーティストが書いたような芸術的なものもあり、オーストラリアのメルボルンなんかでは graffiti が観光名所となっています。なおイタリア語では、graffiti は graffito の複数形なのですが、英語ではgraffiti のみが用いられ、かつ単数形として扱われることが多いです。
The graffiti was painted on the wall overnight.
その落書きは一夜にして壁に描かれた。
incognito
「匿名の/匿名で」という意味の単語です。Google Chrome に シークレットモード(履歴やCookieが残らないモード)という機能があるのは有名ですが、英語ではそれは “incognito mode” と呼ばれています。
If you share a computer with your friends, you should use “Incognito Mode” to prevent them from seeing what websites you use.
もし友達とパソコンをシェアするなら、あなたが使ったウェブサイトを他の人に見られないように “シークレットモード”を使うべきだ。
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