「お茶を濁す」の二つの意味
「お茶を濁す」は大まかには「その場しのぎの対応で誤魔化す」という意味ですが、さらに細かく見ると2つの意味に分類できます。
1. (質問などに正面から答えずに)誤魔化す、曖昧なことを言って避ける、はぐらかす
例:恋人はいるかと聞かれ、「うーん、どうですかね?」と言ってお茶を濁した
2. 申し訳程度、その場しのぎの対応をする
例:政府への批判が高まる中、責任者に軽い処罰を与えることでお茶を濁した。
上で説明した2つの意味を1つの英単語で表すことは難しいので、別々に訳したいと思います。
「お茶を濁す」を英語で(「はぐらかす」の意味)
evasive
evasive は「回避的な、逃げるような」という意味の形容詞で、 質問等に直接答えずにお茶を濁すイメージです。例えば、「歯切れの悪い人、回答」は “evasive person/answer” と言います。ちなみに、evasiveと意味が近いにelusiveという単語があり、こちらは「中々捕まえられない」というイメージです。例えば、ヌメヌメしたウナギをイメージするとわかりやすいでしょう(実際にelusive eelsと言ったりします)。
answer ambiguously
「曖昧に答える」という意味です。ambiguouslyは ambiguous (曖昧な)という形容詞の副詞形で、ambiguous answer は「曖昧な答え」という意味になります。
avoid making a definite statement
「明確な、断定的な発言を避ける」という意味です。なお、definite の対義語は “indefinite” (不明瞭な)です
dodge the main topic/subject/question
「主題、話題、質問に答えることを巧みに避ける」という意味です。dodge はドッジボールのドッジ(ボールをドッジするゲームなのでdodgeballです)で、avoid「避ける」と比べて「巧みにごまかす、ヒラリとかわす」という意味合いが強いです。
hedge
hedge はそれだけで「明言、断定的な発言を避ける」や「言葉を濁す」という意味になる動詞です。この意味においては基本的に自動詞で使われるので、直接目的語を持つことは出来ません (なので「その質問・問題に対して明言を避ける」は “hedge on the question/issue” のように言います)。
なお、hedge は リスクヘッジ (risk hedge) やヘッジファンド (hedge fund)のヘッジで、金融・経済の文脈で「(損失リスクを)避ける」という意味で使われることが多い単語です。
「お茶を濁す」を英語で(「申し訳程度」「その場しのぎ」の意味)
「申し訳程度に何かをやる」や「やった感を出す」という日本語は中々英語に訳しにくいのですが、英語で意味を表すと以下のようになります。
do something just a bit to show that one has at least addressed the problem
全体で「少なくとも問題に取り組んだという事を示すためだけに、何かを少しだけする」という意味です。加えて、”do … in a perfunctory/superficial way” 「おざなりな/表面的な方法で…をする」のように言うと、「最初から解決する気がない」ということがより明示的に伝わるでしょう。
なお、「その場しのぎの、小手先の」という意味の英語表現は結構存在するので、以下の別の記事で詳しくまとめました。

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