この記事では、直訳すると意味が通らない不思議な英語表現、イディオムを紹介します。イギリス英語の表現も少し含んでいます。
英語の慣用句・イディオムが好きな人はこちらの記事もオススメです。
The world is your oyster.
直訳
世界はあなたのオイスター(牡蠣)さ
意味
なんだって出来るよ
例文
You’re very young and you can do anything you want. The world is your oyster.
あなたはとても若いんだから、やりたいことは何でも出来る。世界はあなたのオイスターさ(人生あなたの思うがままさ)。
解説
シェイクスピアが最初に用いた表現だそうです。正直、意味はよくわかんないですけど笑、響きが良くて好きな表現なので、最初に紹介しました。
(… and) Bob’s your uncle
直訳
ボブはあなたの叔父さんだ
意味
(これで成功は)間違いない、バッチリだ、完璧さ
例文
Put it in the oven for 5 minutes and Bob’s your uncle.
それをオーブンに五分間いれたら、もうバッチリだ・完璧さ
解説
古いイギリス英語の表現です。イギリス(またはオーストラリア)以外では通じない可能性大。これも意味はよくわからないけど、響きが好きです。
let the cat out of the bag
直訳
鞄から猫を出す
意味
秘密をうっかり漏らす
例文
We were planning a surprise party for Naomi, but he let the cat out of the bag.
ナオミのためのサプライズパーティーを企画していたのに、彼がうっかり秘密を漏らしてしまった。
解説
鞄の中に隠していた猫(=秘密)が飛び出してしまったのをイメージすると、わかりやすいでしょう。
kick the bucket
直訳
バケツを蹴る
意味
死ぬ、逝く
例文
My smartphone has suddenly kicked the bucket.
私のスマホが急に逝った。
解説
文字通りの意味でない表現として有名なイディオムです。人にも物にも使えます。有力な語源は、首にロープをかけて台のバケツを蹴る首吊りの行為、という少し物騒なものです。
(こちらの記事で死に関する他の婉曲表現を解説しています。)
take … with a grain of salt
直訳
…を一粒の塩と共に取る
意味
…を話半分で聞く、…を鵜呑みにしない
例文
I took his word with a grain of salt
彼の言葉を話半分で聞いた/少し疑って聞いた。
解説
一説によると、毒を癒すために塩を使った薬が使われていたことに由来するようです。なお、with a grain of salt の代わりに with a pinch of salt (ひと摘まみの塩)と言うこともあります。
snake oil
直訳
蛇の油
意味
インチキ
例文
Are these products reliable or just snake oil?
これらの商品は信頼できるのか、それともただのインチキなのか?
解説
snake oil salesman (蛇の油セールスマン)で「怪しげなものを売る人」という意味の表現になります。昔、よく効く薬として「中国水蛇の油」から作った薬が中国からアメリカに伝わったそうですが、その結果「ガラガラ蛇の油で作った薬」(しかも実際は「ミネラルオイル」等で作れられていた)というパチモンが数多く出回ったという歴史から、「インチキ」という語義が生まれました。
swan song
直訳
白鳥の歌
意味
現役最後の作品・パフォーマンス
例文
The next game will be his swan song
次の試合が彼にとって最後の試合だ
解説
swansongと1単語として使われることもあります。白鳥が死ぬ直前に美しく鳴くという伝承に由来する表現です。芸術家、音楽家、アスリートなど幅広いジャンルの人に対して使えます。語源を考えると、引退前の最高の作品・集大成・パフォーマンスを表すのにピッタリな表現なのですが、”His swan song was far from a hit” (最後の作品は全然ヒットしなかった)のようにネガティブにも使ったり、ニュートラルな意味で使ったりもします。
cold turkey
直訳
冷たい七面鳥
意味
(お酒やタバコ、ドラッグなど依存している物を)急に断ち切った状態
例文
1. I went cold turkey on smoking.
私は急に喫煙を断ち切った
2.
He quit drinking cigarettes cold turkey.
彼は突然お酒を一切やめた
解説
go/going cold turkey や quit (something) cold turkey というフレーズでよく使います。
a cold email
直訳
冷たいメール
意味
相手に事前の連絡なしに、突然送るメール
例文
I sent a cold email to the founder, asking if there is a job opportunity.
(まだ会ったこともない)創業者に突然メールを送って、何か仕事がないか尋ねた。
解説
例えば、会社が商品の宣伝のため特定の顧客層に対して送るメールや、個人が仕事を得る目的で特定の会社の代表者に突然自分を売り込むメールなどが、cold email に該当します。なお、電話の場合は “cold calling”と言います。ネットスラングの “凸る”に少し意味が近いです。
(there’s) no rest for the wicked
直訳
悪人に休息なし
意味
忙しくて休む間もない
例文
As soon as he graduates from university, he will start a new job, so there’s no rest for the wicked.
(訳)大学を卒業するや否いや、彼は新しい仕事を始めるので休んでいる暇はない。
解説
聖書に由来する表現で、本来は「罪人には絶え間ない苦痛が地獄で待っている」という意味です。しかし、実際は例文のように「忙しい、(疲れていても)休むまもない」という意味のフレーズとして(悪い意味ではなく)冗談っぽく使われます。
under the weather
直訳
天気の下
意味
体調が悪い、本調子でない
例文
I’m a bit feeling under the weather today.
今日は少し体調が悪い。
解説
比較的有名でよく使われるイディオムです。有力な説によると、船乗りが船酔いして体調が悪くなった時、船室の屋根の下で(外の天気の下)で休んでいた事に由来しているとしています。
rain cats and dogs
直訳
猫犬をふらす雨?(訳不可能)
意味
かなりの大雨だ
例文
It’s raining cats and dogs now.
今、大雨が降っている
解説
かなり有名な古典的イディオムです。諸説ありますが、確実な語源はないそうです。台風の時に使ってみると良いかもしれません。次の “cost an arm and leg” というイディオムと雰囲気が少し似ているので、続けて紹介します。
cost an arm and leg
直訳
(コストとして)手足がかかる
意味
めちゃくちゃ高い、莫大なお金がかかる
例文
It costs an arm and leg to study at a private university in the U.S.
アメリカの私立大学で勉強するには莫大な金額がかかる。
解説
こちらも諸説ある中、はっきり語源は不明だそうです。ただ、先ほどのrain cats and dogs よりは意味が通りますね。(まるで自分の手足と比較くらい高価、という意味で)。
a walk in the park
直訳
公園の散歩
意味
簡単、余裕、容易い
例文
It is not a walk in the park to win the game
その試合に勝つのはそんな(公園を散歩するように)容易いことではない。
解説
似た意味のイディオムに “a piece of cake” (一切れのケーキ) がり、こちらの方が(大学受験でも出るくらい)有名なイディオムですね。ちなみに、以下の記事で「超簡単」や「余裕」を意味する英語表現をまとめています。
※残りの表現はかなりマニアックですので、語彙力多めのネイティブじゃないと伝わらないかもしれません…笑
a hair of the dog
直訳
犬の毛
意味
迎え酒
例文
It’s not a good idea to take a hair of the dog as a hangover cure.
二日酔いを治すために迎え酒を飲むのはいい考えではない。
解説
あまり有名な表現じゃありませんし、まぁ使う機会もほとんどないと思いますが笑(日本語でもあまり「迎え酒」って言いませんよね)、面白いので紹介しました。
see a man about a dog
直訳
犬の事に関して男に会う
意味
トイレに行く
例文
I’m going to see a man about a dog.
トイレ行ってくる。
解説
とあるオーストラリア人に「変なイディオムが好きなんだ」と言ったら、これを教えてくれました笑。恐らく、普段はほとんど耳にしない(けど、知っている人は知っている)表現だと思います。英語にはトイレを遠回しに言う面白い表現が他にも沢山あり、 例えば John という人の名前がなぜかトイレの代わりにI’m going to the Johnのように使われたりします笑。なお、人の名前を使った英語表現は以下の記事で数多く紹介しています。
trip the light fantastic
直訳
???
意味
(ダンスホールや踊り場で)軽快に踊る
例文
The dancers tripped the light fantastic to the upbeat song
ダンサーたちが、ノリの良い曲に合わせて軽快に踊った。
解説
もはや文法的にもおかしい、まさに直訳不能なイディオムです。「踊る」を誇張して冗談っぽく言う時に使われるそうです。全然有名なイディオムではありませんが、不思議なイディオムなので紹介しました(これも、別のオーストラリア人に教えてもらいました)。語源は、イギリス人詩人のJohn Miltonが1600年代に書いた以下の詩に由来しているそうです。
Come, and trip it as ye go,
On the light fantastick toe.
今日では、 tripは主に「つまづく」という意味で使われますが(名詞では「旅行」ですね)、昔は「踊る」という意味が一般的だったそうです。そして、二文目の “On the light fantastick toe”は「魅力的で軽やかでつま先 (ステップ) で」という意味で、軽快な踊りを描写したフレーズになっています (fantastickはfantasticのの古い綴りです)。これが縮まって “trip the light fantastic” となった訳ですね。なお、イメージが似ている表現に “be light on one’s feet” (軽快な)というものがあります。こちらは日本語の「足取りが軽い」と似ていますね。
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[…] bullsh*t は「嘘、デタラメ」という意味の汚めなスラングで、それのartist (アーティスト)なので「デタラメ屋」みたいなニュアンスです。何かそれっぽいことを言って情報商材を巧みに売りつけるような人を表すのに使います。 これに似た単語に “con artist” 「詐欺師」というのがあり、こちらはもっと一般的な単語です。また、snake oil salesman (蛇の油営業マン)という有名なイディオムもあり、これは「価値のない物を売りつけて儲ける人」という意味です(snake oil で「インチキ」という意味になります。以前、「直訳すると変な英語の表現・慣用句一覧」というブログ記事で紹介しました)。 […]