この記事では、直訳すると意味が通らない不思議な英語表現、イディオムを紹介します。全て実際に英英辞書に登録されている表現ですが、イギリス英語に特有の表現も少し含んでいます。自身の備忘録も兼ねているので、新しい表現を見つけ次第、随時更新しています。
最終更新:2021/5/1
The world is your oyster.
直訳:世界はあなたのオイスター(牡蠣)さ
意味:なんだって出来るよ
You’re very young and you can do anything you want to do. The world is your oyster.
(訳)あなたはとても若いんだから、やりたいことは何でも出来る。世界はあなたのオイスターさ(人生あなたの思うがままさ)。
解説:シェイクスピアが最初に用いた表現だそうです。意味はよくわかんないですけど笑、響きがいいですね。
(… and) Bob’s your uncle
直訳:ボブはあなたの叔父さんだ
意味:(これで成功は)間違いない、バッチリだ、完璧さ
例文
Put it in the oven for 5 minutes and Bob’s your uncle.
それをオーブンに五分間いれたら、もうバッチリだ・完璧さ
解説:古いイギリス英語の表現です。イギリス(またはオーストラリア)以外では通じない可能性大。これも意味はよくわからないけど、響きが好きです。
snake oil
直訳:蛇の油
意味:インチキ
例文
Are these prodcuts reliable or just snake oil?
これらの商品は信頼できるのか、それともただのインチキなのか?
解説:昔、よく効く薬として「中国水蛇の油」から作った薬が中国からアメリカに伝わったそうですが、その結果「ガラガラ蛇の油で作った薬」(しかも実際は「ミネラルオイル」等で作れられていた)というパチモンが数多く出回ったという歴史から、「インチキ」という語義が生まれました。他にも、snake oil salesman (蛇の油セールスマン)で「怪しげなものを売る人」という意味の表現になります。
kick the bucket
直訳:バケツを蹴る
意味:死ぬ、逝く
例文
My smartphone has suddenly kicked the bucket.
私のスマホが急に逝った。
解説:文字通りの意味でない表現として有名なイディオムです。人にも物にも使えます。有力な語源は、首にロープをかけて台のバケツを蹴る首吊りの行為、という少し物騒なものです。
bread and butter
直訳:パンとバター
意味:メインの収入、収入源
例文
Tourism is bread and butter for many Australians.
観光業は多くのオーストラリア人にとってメインの収入源である。
My bread and butter comes from playing music on the street.
私の主収入は路上ライブによって得ている
解説:要は食っていくための主収入ってことですね。日本語バージョンを作るなら「米と味噌」とかになりますかね。一方、 bread-and-butter issues/matters で「全員に関係する問題(税制度など)」という意味にもなります。この場合、bread-and-butter は「誰しもに影響が及ぶような」という形容詞として使われていますね。なお、breadwinner (パンを勝ち取る人)で「大黒柱」(一家の稼ぎ頭) という意味になります。
old school
直訳:古い学校
意味:昔ながらの、古典的な
例文
He took an old school approach to solve this problem
この問題を解くために、彼は昔ながらのやり方を用いた。
解説:とあるインスタント麺のパッケージに電子レンジと茹でる作り方の2通りが書いてあり、後者に old school と書いてありました。
a piece of cake
直訳:一切れのケーキ
意味:朝飯前だ、お茶の子さいさい
例文
It was a piece of cake to win the game
その試合に勝つのなんて朝飯前だった。
解説:とても有名なイディオムです。日本語の「お茶の子さいさい」と意味も雰囲気もよく似ていますね(お茶の子=茶菓子)。なお、同じ意味を1単語で表すには、”cinch”という単語が使えます。
cold turkey
直訳:冷たい七面鳥
意味:(お酒やタバコ、ドラッグなど依存している物を)急に断ち切った状態
例文
1. I went cold turkey on smoking.
私は急に喫煙を断ち切った
2.
He quit drinking cigarettes cold turkey.
彼は突然お酒を一切やめた
解説:go/going cold turkey (急に断ち切る)というフレーズでよく使います。
(there’s) no rest for the wicked
直訳:悪人に休息なし
意味:忙しくて休む間もない
As soon as he graduates from university, he will start a new job, so there’s no rest for the wicked.
(訳)大学を卒業するや否いや、彼は新しい仕事を始めるので休んでいる暇はない。
解説:聖書に由来する表現で、本来は「罪人には絶え間ない苦痛が地獄で待っている」という意味です。しかし、実際は例文のように「忙しい、(疲れていても)休むまもない」という意味のフレーズとしても冗談っぽく使われます。
under the weather
直訳:天気の下
意味:体調が悪い、本調子でない
例文
I’m a bit feeling under the weather today.
今日は少し体調が悪い。
解説:比較的有名なイディオムです。有力な説によると、船乗りが船酔いして体調が悪くなった時、船室の屋根の下で(外の天気の下)で休んでいた事に由来しているとしています。
rain cats and dogs
直訳:猫犬をふらす雨?(訳不可能)
意味:かなりの大雨だ
It’s raining cats and dogs now.
(今)今、大雨が降っている
解説:結構有名な古典的イディオムです。諸説ありますが、確実な語源はないそうです。台風の時に使ってみると良いかもしれません。次のイディオムも雰囲気が少し似ていますので、続けて紹介します。
cost an arm and leg
直訳:(コストとして)手足がかかる
意味:めちゃくちゃ高い、莫大なお金がかかる
It costs an arm and leg to study at a private university in the U.S.
(訳)アメリカの私立大学で勉強するには莫大な金額がかかる。
解説:こちらも諸説ある中、はっきり語源は不明だそうです。ただ、先ほどのrain cats and dogs よりは意味が通りますね。(まるで自分の手足と比較くらい高価、という意味で)。
trip the light fantastic
直訳:???
意味:(ダンスホールや踊り場で)軽快に踊る
The dancers tripped the light fantastic to the upbeat song
ダンサーたちが、ノリの良い曲に合わせて軽快に踊った。
解説:もはや文法的にもおかしい、まさに直訳不能なイディオムです。「踊る」を誇張して冗談っぽく言う時に使われるそうです。決して有名なイディオムではありませんが、不思議なイディオムには違いないので紹介しました。語源は、イギリス人詩人のJohn Miltonが1600年代に書いた以下の詩に由来しているそうです。
Come, and trip it as ye go,
On the light fantastick toe.
今日では、 tripは主に「つまづく」という意味で使われますが(名詞では「旅行」ですね)、昔は「踊る」という意味が一般的だったそうです。そして、二文目の “On the light fantastick toe”は「魅力的で軽やかでつま先 (ステップ) で」という意味で、軽快な踊りを描写したフレーズになっています (fantastickはfantasticのの古い綴りです)。これが縮まって “trip the light fantastic” となった訳ですね。なお、イメージが似ている表現に “be light on one’s feet” (軽快な)というものがあります。こちらは日本語の「足取りが軽い」と似ていますね。
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